かけ算の計算のきまり:交換法則・結合法則・分配法則の使い方

かけ算の計算のきまり(交換法則・結合法則・分配法則)とは何ですか?
かけ算の計算のきまりは、どんな数でも成り立つ5つの性質です。交換法則(3 × 5 = 5 × 3)、結合法則((2 × 3) × 4 = 2 × (3 × 4))、分配法則(7 × 8 = 7 × 5 + 7 × 3 = 56)、そして1をかけても数は変わらず、0をかけると0になるというきまりです。
この記事の要点
- かけ算の計算のきまりは、交換法則、結合法則、分配法則、1をかけるきまり、0をかけるきまりの5つで、どれもすべての数で成り立ちます。
- 交換法則は3 × 5 = 5 × 3ということです。九九の81個の式のうち、ちがう答えの組み合わせは45個だけになります。
- 分配法則は、かける数をかんたんな数に分けるきまりです。7 × 8 = 7 × 5 + 7 × 3 = 35 + 21 = 56になります。
- 結合法則を使うと3つの数の組み方を変えられます。4 × 7 × 25は7 × (4 × 25) = 7 × 100 = 700です。
- ひき算とわり算では交換法則も結合法則も成り立ちません。12 ÷ 4 = 3ですが、4 ÷ 12 = 1/3です。
お子さんは7 × 5 = 35はすぐに言えるのに、7 × 8で止まってしまう。宿題には「分配法則を使って計算しましょう」と書いてあります。かけ算の計算のきまりは、知っている式から知らない式を導くための5つのきまりで、交換法則、結合法則、分配法則、1をかけるきまり、0をかけるきまりがあります。7 × 8が7 × 5と7 × 3の和だと分かれば、九九はばらばらに覚える81個の式ではなくなります。
かけ算の計算のきまりとは?
かけ算の計算のきまりは、数の大きさに関係なく、どんな数でも成り立つきまりです。交換法則は順番を入れかえてよい、結合法則は組み方を変えてよい、分配法則は一方の数を分けてよいというきまりで、残りの2つは1と0をかけたときにどうなるかを決めています。
日本では、小2で九九を学ぶときにかけ算の交換法則に出会います。小学校学習指導要領は第2学年で「乗数が1ずつ増えるときの積の増え方や交換法則を取り扱う」とし、第3学年では「交換法則,結合法則,分配法則を取り扱う」、さらに「乗数又は被乗数が0の場合の計算」も扱うとしています。アメリカの州共通基礎スタンダード 3.OA.B.5も3年生に同じ考え方を求め、「8 × 7は8 × (5 + 2) = (8 × 5) + (8 × 2) = 40 + 16 = 56と求められる」という例をあげています。
交換法則で九九が45個に減る理由
交換法則を使うと、九九の81個の式のうち、ちがう組み合わせは45個だけになります。九九の表は9 × 9 = 81マスで、そのうち7 × 7のような同じ数どうしの式が9個あります。残りの72マスは3 × 8と8 × 3のように順番を入れかえた2つ1組になっていて36組なので、36 + 9 = 45です。
ドットの図を見ると、順番が関係ない理由が分かります。5個ずつ3列のドットと、3個ずつ5列のドットは、向きを90度回しただけの同じ15個です。

分配法則の使い方を順番に
分配法則は、ある数に和をかけた答えが、和のそれぞれの数にかけてたした答えと等しいというきまりです。OpenStaxの初等代数の分配法則の章は「a、b、cが実数ならば、a(b + c) = ab + ac」と書いています。実際の計算では、むずかしい1つの式をやさしい2つの式に変えるきまりです。
- 分ける数を決める。 7 × 8なら8を分けます。7 × 8より、7 × 5と7 × 3のほうがやさしいからです。
- 計算しやすい数に分ける。 お子さんがもう知っている数を選び、8 = 5 + 3や14 = 10 + 4のように分けます。5と10がよく使う目じるしです。
- 分けたそれぞれに、もう一方の数をかける。 7 × 5 = 35と7 × 3 = 21を出します。たす前に、2つの積を両方書いておきます。
- 部分の積をたす。 35 + 21 = 56なので、7 × 8 = 56です。大きな数でも同じで、6 × 14 = 6 × 10 + 6 × 4 = 60 + 24 = 84です。
- 別の分け方で確かめる。 7 × 8 = 7 × 4 + 7 × 4 = 28 + 28 = 56のように分け方を変えます。2つの道すじで同じ答えになると、式が記憶に残ります。
つまずきやすいところ:最初の数にだけかける
分配法則でいちばん多い間違いは、分けた最初の数にだけかけて、2つ目を忘れることです。6 × (10 + 4) = 60 + 24 = 84のはずが、60 + 4 = 64と書いてしまいます。6からかっこの中のすべての数に矢印をかき、積の数を数えると防げます。2つに分けたら、かけ算も2回です。
同じ分け方が、筆算のかけ算のもとになっています。23 × 4の部分の積は20 × 4 = 80と3 × 4 = 12で、合わせて92です。筆算のかけ算の教え方では、この一歩から筆算全体を組み立てています。
かけ算の5つの計算のきまりをくらべる
かけ算の5つの計算のきまりは、1つの表にまとめられます。どのきまりにも、文字を使った式、数の例、九九での役目があります。文字の式は、アメリカのスタンダードの用語集の表3と、「どんな数に0をかけても0になる」と書くOpenStaxの単位元・逆元・0の章にそろえています。
| きまり | 文字の式 | 数の例 | 役に立つ場面 |
|---|---|---|---|
| 交換法則 | a × b = b × a | 3 × 5 = 5 × 3 = 15 | 覚える九九が81個から45個に減る |
| 結合法則 | (a × b) × c = a × (b × c) | (2 × 3) × 4 = 2 × (3 × 4) = 24 | 組み方を変えて先に10や100を作る |
| 分配法則 | a × (b + c) = a × b + a × c | 7 × 8 = 7 × 5 + 7 × 3 = 56 | やさしい式からむずかしい式を作る、筆算 |
| 1をかけるきまり | a × 1 = 1 × a = a | 9 × 1 = 9 | 1の段がまるごと分かる、大きさの等しい分数 |
| 0をかけるきまり | a × 0 = 0 × a = 0 | 0 × 8 = 0 | 0の計算がまるごと分かる、0がある式にすぐ気づく |
どの計算のきまりから教えるか
最初に教えるのは交換法則で、すぐに効果が出るからです。日本でも交換法則は九九と同じ小2で扱います。イングランドの算数・数学の学習プログラムも2年目に「2つの数のかけ算はどちらの順でもできる(交換法則)が、わり算はできないことを示す」ことを求めています。
次は1と0のきまりで、表の2つの列がまるごと片づきます。イングランドでは4年目に「0と1をかける」ことと「分配法則を使って2けた×1けたのかけ算をする」ことが並んでいて、39 × 7 = 30 × 7 + 9 × 7 = 210 + 63 = 273の例があります。九九を早く覚える方法も同じ順番で進めています。
計算のきまりを使った暗算
かけ算の計算のきまりは、暗算の工夫のほとんどを支えています。交換法則と結合法則を組み合わせると、いくつかの数のかけ算の順番も組み方も自由に変えられるので、10や100を探せます。
4 × 7 × 25なら、入れかえて組み直し、7 × (4 × 25) = 7 × 100 = 700です。同じように、5 × 18 = 5 × (2 × 9) = (5 × 2) × 9 = 10 × 9 = 90になります。
アメリカのスタンダードの例は、両方の順番を示しています。「3 × 5 × 2は、3 × 5 = 15、15 × 2 = 30と求めても、5 × 2 = 10、3 × 10 = 30と求めてもよい」。
分配法則は、お金の計算にも使えます。1枚1,250円のチケットを3枚買うなら、3 × (1,000 + 250) = 3,000 + 750 = 3,750円です。この種類の工夫は本当に使える暗算のこつにまとめています。
練習のきまり:面積図をかく
面積図をかくと分配法則が目に見えるので、分けた部分を見失いがちな子どもに役立ちます。たて7マス、横8マスの長方形をかき、5列目のあとで区切って、それぞれのマスを数えます。7 × 5 = 35マスと7 × 3 = 21マスです。アメリカのスタンダード3.MD.C.7cも「面積のモデルを使って分配法則を表す」ことを求めています。

数をかけ算に分ける力は、最大公約数を見つける力と同じです。最大公約数と最小公倍数の解説では、36 + 8が4 × (9 + 2) = 44になる例を紹介しています。
計算のきまりが身についたかを確かめるには
5つの短い問いで、子どもや大人が計算のきまりを使っているのか、九九を唱えているだけなのかが分かります。
- 入れかえ: 「6 × 9 = 54なら、9 × 6は?」と聞きます。計算せずにすぐ「54」と答えれば、交換法則が身についています。
- 分ける: 8 × 5を使って8 × 7を求めてもらいます。聞きたい答えは40 + 16 = 56です。
- 組み直す: 2 × 13 × 5を出します。10 × 13 = 130に気づけば、結合法則を使えています。
- 0と1: 0 × 12と1 × 12を聞きます。答えは0と12で、取りちがえはよくあります。
- 説明する: 4 × 6 = 4 × 3 + 4 × 3になるのはなぜかを聞きます。「6は3 + 3だから」と言えれば十分です。
週に1回、2分の確認
途中の考えを声に出してもらいながら週に1回2分確認するほうが、計算ドリル1ページより多くのことが分かります。種類ごとに1問ずつ混ぜて、お子さんがどのきまりを使うかを見ます。どの答えも数えたしで出している子どもは、数とびの数え方のパターンで差をうめられます。
よくある間違いとまぎらわしい場合
計算のきまりの誤答のほとんどは5つの間違いから来ていて、どれも短く直せます。
- ひき算やわり算の順番を入れかえる: OpenStaxが示すとおり、12 ÷ 4 = 3ですが4 ÷ 12 = 1/3、7 − 3 = 4ですが3 − 7 = −4です。交換法則が成り立つのはたし算とかけ算だけです。
- わり算の組み方を変える: (24 ÷ 4) ÷ 2 = 3ですが、24 ÷ (4 ÷ 2) = 12です。わり算とひき算では結合法則が成り立たないので、かっこは動かしません。
- 0と1を取りちがえる: 8 × 0 = 0、8 × 1 = 8です。8 × 0 = 8と書く子どもは、たし算の8 + 0 = 8のきまりを使っています。
- かけ算の中に分配する: 2 × (3 × 4)は24ですが、2 × 3 × 2 × 4は48です。分配法則が使えるのは和や差に対してだけで、積に対しては使えません。
- かけ算より先にたす: 7 × 5 + 7 × 3は、先に2つの積を出すという意味です。計算の順序の解説のとおり、左から(7 × 5 + 7) × 3と計算すると、56ではなく126になってしまいます。
まぎらわしい場合:ひき算にも使える分配法則
分配法則はひき算にも使えます。a × (b − c) = a × b − a × cで、OpenStaxがあげる「ほかの形」の1つです。9の段がかんたんになり、8 × 9 = 8 × 10 − 8 × 1 = 80 − 8 = 72、6 × 99 = 600 − 6 = 594です。
わり算で分配できるのは、和をわるときだけです。(20 + 8) ÷ 4 = 5 + 2 = 7は正しいですが、24 ÷ (4 + 2)は24 ÷ 6 = 4で、24 ÷ 4 + 24 ÷ 2 = 6 + 12 = 18とはちがいます。
計算のきまりのチェックリストと次の一歩
- 交換法則: 1つの式を覚えれば、入れかえた式はただで手に入る。
- 1と0のきまり: 1をかける式と0をかける式はまるごと分かる。
- 分配法則: むずかしい数を5や10に分け、両方にかける。
- 結合法則: 3つの数の組み方を変えて、先に10や100を作る。
- 確かめ: ひき算とわり算は、順番もかっこもそのまま。
小2〜小4の練習は九九のゲームのページにあり、計算のきまりで分かった式をすばやく思い出せるようになります。
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よくある質問
交換法則とは何ですか?
交換法則は、2つの数の順番を入れかえても答えが変わらないというきまりです。かけ算ではa × b = b × a、たし算ではa + b = b + aです。たとえば6 × 4 = 4 × 6 = 24です。ひき算とわり算では成り立たず、7 − 3 = 4ですが3 − 7 = −4です。
結合法則とは何ですか?
結合法則は、3つの数をすべてかける(またはすべてたす)とき、どこから計算しても答えが変わらないというきまりです。(a × b) × c = a × (b × c)で、(2 × 3) × 4 = 6 × 4 = 24、2 × (3 × 4) = 2 × 12 = 24です。かっこを動かして、先に10や100を作れます。
分配法則はどうやって使いますか?
分配法則は、一方の数を計算しやすい2つの数に分け、それぞれにもう一方の数をかけ、2つの積をたして使います。6 × 14なら14を10 + 4に分け、6 × 10 = 60と6 × 4 = 24を出して、たすと84です。分けた両方にかけるのを忘れないことが大切です。
分配法則とはどういう意味ですか?
分配法則は、ある数に和をかけた答えが、和のそれぞれの数にかけてたした答えと等しいというきまりです。a × (b + c) = a × b + a × cと書きます。かけ算がかっこの中のすべての項に配られる(分配される)ので、3 × (2 + 5) = 6 + 15 = 21になります。
たし算の交換法則とは何ですか?
たし算の交換法則は、2つの数をどちらの順にたしても和が同じになるというきまりです。a + b = b + aで、3 + 9 = 9 + 3 = 12です。そのため子どもは大きいほうの数から数えたしできます。ひき算では成り立たず、9 − 3 = 6ですが3 − 9 = −6です。
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