不等式の意味と解き方、数直線への表し方

不等式とは何ですか?
不等式は、2つの数や式の大小関係を、<、>、≦、≧、≠ などの不等号で表した式です。x > 5 のような不等式の答えは1つではなく、6も5.1も100も当てはまりますが、5は当てはまりません。不等式は方程式と同じように解けますが、両辺に負の数をかけたり両辺を負の数でわったりするときだけ、不等号の向きが逆になります。
この記事の要点
- 不等式は、2つの数量の大小関係を <、>、≦、≧、≠ で表した式で、答えはふつう1つではなく、限りなくたくさんあります。
- 不等式は方程式と同じ手順で解けるので、3x − 4 > 11 は 3x > 15 になり、x > 5 になります。
- 不等号の向きは、両辺に負の数をかけたり両辺を負の数でわったりするときに逆になるので、−2x ≦ 8 を−2でわると x ≧ −4 になります。
- 不等式の答えを数直線に表すときは、< と > では境目の数に白丸(○)、≦ と ≧ では黒丸(●)をかき、当てはまる数のほうへ矢印をのばします。
- 日本の中学校学習指導要領は中1で大小関係を不等式で表すことを扱い、アメリカのCommon Coreは6年生で x > c の形、7年生で px + q > r の形の不等式を学びます。
道路標識には「60」、お子さんの宿題には「3x − 4 > 11 を解きなさい」。どちらも同じ問い、「不等式とは何か」につながります。不等式は2つの数量が等しくないことを表す式で、答えはふつう1つの数ではなく、数の範囲です。方程式が解けるなら、同じ手順に負の数についてのルールを1つ加えるだけで不等式も解けます。数直線への表し方も、境目、丸、矢印の3つで決まります。
不等式とは何か
不等式は、2つの数量を5つの記号のどれかで比べる式です。<(小さい)、>(大きい)、≦(以下)、≧(以上)、≠(等しくない)の5つです。日本の教科書では、英語圏の ≤、≥ を ≦、≧ と書きますが、意味は同じです。< や > のとがった側が小さいほうを向くので、3 < 8 と 8 > 3 は同じことを表します。
x + 2 = 7 のような方程式の答えは x = 5 の1つです。x + 2 > 7 のような不等式の答えは限りなくたくさんあり、6、5.5、20、1000はどれも当てはまりますが、5は当てはまりません。OpenStaxの初等代数(Elementary Algebra 2e)は x > 3 について「3より大きいどの数も不等式の解である」と書いています。
日本では、不等号 > と < を小学2年生で使い始め、「不等号」という言葉は小学3年生で学びます。中学校学習指導要領は第1学年で「大小関係を不等式を用いて表すこと」を扱うとしています。アメリカでは6年生から始まり、Common Coreの6.EE.B.8が、現実の条件を x > c や x < c の形の不等式で表し、その解が限りなくたくさんあることに気づき、数直線に表すことを求めています。
ブラウザで無料で遊ぶ大小の比較年長〜小1身近な不等式:制限速度、身長制限、「以上」と「以下」
身近な不等式は、上限や下限を数学で書いたものです。一般道の法定速度60km/hは、速さsが s ≦ 60 であることを表します。60km/hちょうどは許されるからです。「身長120cm以上」の乗り物は h ≧ 120、「野菜を3皿以上食べる」は v ≧ 3 です。
言葉で不等号が決まります。OpenStaxは英語の at least(少なくとも)が「以上」と同じだと説明しています。日本語では、「以上」と「以下」は境目の数をふくむので ≧ と ≦、「より大きい」と「未満」は境目の数をふくまないので > と < になります。「100円未満」に100円は入りませんが、「100円以下」には入ります。
不等式の解き方の手順
不等式を解くとは、式を正しくする文字の値をすべて見つけることで、手順は方程式の解き方と同じです。3x − 4 > 11 で考えます。
- 不等号を読む。 不等号は >(大きい)なので、負の数でわって向きが変わらないかぎり、答えは「xはある数より大きい」になります。
- たし算とひき算を元にもどす。 両辺に4をたします。3x − 4 + 4 > 11 + 4 で、3x > 15 です。たしてもひいても、不等号の向きは変わりません。
- かけ算とわり算を元にもどす。 両辺を3でわります。x > 5 です。正の数でわるときは、不等号の向きはそのままです。
- 当てはまるはずの数で確かめる。 x = 6 を入れると 3 × 6 − 4 = 14 で、14 > 11 は正しいです。
- 境目の数で確かめる。 x = 5 を入れると 3 × 5 − 4 = 11 で、11 > 11 は正しくないので、5は解ではありません。だから5には白丸をかきます。
- 答えを書いて数直線に表す。 解は x > 5 で、5より大きいすべての数です。5に白丸をかき、右へ矢印をのばします。
不等号の向きを変えるのはいつ?
不等号の向きが変わるのは、両辺に負の数をかけたり、両辺を負の数でわったりするときで、それ以外では変わりません。OpenStaxは「不等式を負の数でわったり、負の数をかけたりすると、不等号の向きが逆になる」と1行で説明しています。たし算、ひき算、正の数のかけ算とわり算では、向きはそのままです。
正しい式で試すと、このルールの理由が分かります。2 < 5 は正しいですが、両辺に−1をかけると−2と−5になり、数直線では−2のほうが−5より大きいです。向きをそのままにすると −2 < −5 という正しくない式になるので、向きを逆にして −2 > −5 にします。
−2x ≦ 8 なら、両辺を−2でわり、≦ を ≧ に変えて x ≧ −4 です。境目の数は答えにふくまれます。−2 × (−4) = 8 で、8 ≦ 8 は正しいからです。
−4より小さい数は当てはまりません。x = −5 なら −2 × (−5) = 10 で、10 ≦ 8 は正しくないので、答えは右を向きます。負の数のかけ算があやふやなら、負の数の解説で符号のルールを確かめましょう。

不等号の比較:読み方、丸、区間の記号
不等号には、それぞれの読み方、数直線の丸、区間の記号があります。日本の中学校では答えを x > 5 のように不等式のまま書きますが、英語圏の代数の教科書では区間の記号も使います。
| 記号 | 読み方 | 数直線の丸 | 例 | 解の集まり | 区間の記号 |
|---|---|---|---|---|---|
| < | 小さい(未満) | 白丸、左向きの矢印 | x < −1 | −1より小さいすべての数 | (−∞, −1) |
| > | 大きい | 白丸、右向きの矢印 | x > 2 | 2より大きいすべての数 | (2, ∞) |
| ≦ | 以下 | 黒丸、左向きの矢印 | x ≦ −1 | −1と、−1より小さいすべての数 | (−∞, −1] |
| ≧ | 以上 | 黒丸、右向きの矢印 | x ≧ 2 | 2と、2より大きいすべての数 | [2, ∞) |
| ≠ | 等しくない | 白丸、両側をぬる | x ≠ 3 | 3以外のすべての数 | (−∞, 3) ∪ (3, ∞) |
区間の記号のルールは1つだけ
区間の記号は、解の集まりを両端で表し、ふくまれない端には丸かっこ、ふくまれる端には角かっこを使います。OpenStaxは、丸かっこ「(」は不等式の端の数がふくまれないことを、角かっこ「[」はふくまれることを表すと説明しています。無限大(∞)にはどの数も届かないので、いつも丸かっこです。
丸とかっこは同じことを表します。白丸は丸かっこ、黒丸は角かっこにあたるので、x ≧ 2 は2に黒丸、区間の記号では [2, ∞) です。日本の中学・高校の問題では、答えを x ≧ 2 のように不等式で書くのがふつうなので、区間の記号は英語の教材を読むときの知識として覚えておけば十分です。
不等式の答えを数直線に表す方法
不等式の答えを数直線に表すには、境目をどこにするか、どちらの丸をかくか、どちら側に矢印をのばすかの3つを決めます。x > 2 なら、境目は2、2は解ではないので白丸、矢印は大きい数のほうへ右向きです。
丸は不等号で決まります。< と > では白丸、≦ と ≧ では黒丸(ぬりつぶした丸)をかきます。OpenStaxのように、丸のかわりに境目に丸かっこや角かっこをかく本もありますが、意味は同じです。
矢印の向きは不等号の向きで決まります。xが左にあれば、> と ≧ は右へ、< と ≦ は左へのばします。矢印の側の数を1つ選んで確かめましょう。x ≦ −1 なら x = −3 を試すと、−3 ≦ −1 は正しいです。

ルール:矢印をかく前にxを左に書き直す
7 < x のように文字が右にある不等式は、矢印を逆向きにかきやすい式です。OpenStaxは「x > a は a < x と同じ意味」という直し方を示しています。7 < x をxの側から「xは7より大きい」と読み、x > 7 と書き直してからかきましょう。
同じ書き直しは、解いた答えを整えるときにも使えます。10 ≧ 2x + 4 を解くと 6 ≧ 2x、さらに 3 ≧ x となるので、x ≦ 3 と書き直します。3に黒丸をかいて左へ矢印をのばし、2 × 3 + 4 = 10 なので x = 3 も確かめられます。数直線は座標平面の1本の軸で、座標平面の解説では同じ考え方が2次元に広がる様子を説明しています。
不等式の理解を確かめる方法
5つの短い問題で、不等式を理解しているのか、手順をまねているだけなのかが分かります。何も見ずに解き、境目の数を確かめてから答え合わせをしましょう。
- 1回の計算: x + 7 ≦ 12 を解く。両辺から7をひいて x ≦ 5。5に黒丸、左向きの矢印です。
- 正の数でわる: 4x > −12 を解く。正の4でわるので向きはそのままで、x > −3 です。
- 負の数でわる: −3x > 12 を解く。−3でわるので向きが変わり、x < −4 です。x = −5 で確かめると、15 > 12 は正しいです。
- かくれた負の数: 5 − x < 2 を解く。両辺から5をひいて −x < −3、−1でわって x > 3 です。
- 文章題: 1週間の固定給5,000円に、1件売るごとに300円が加わり、10,000円以上もらいたい。5000 + 300s ≧ 10000 なので 300s ≧ 5000、s ≧ 5000 ÷ 300 で、約16.7です。つまり17件以上売る必要があります。
すぐできるテスト:境目の確かめ
境目の確かめは、丸の種類と矢印の向きのまちがいを見つける1分間のテストです。境目の数をもとの不等式に入れると、両辺が等しくなるはずで、不等号を見ればそれが答えにふくまれるかが分かります。次に矢印の側の数を1つ入れ、正しい式になることを確かめます。
この文章題は、カリキュラムにある問題をもとにしています。Common Coreの7.EE.B.4bは、7年生に px + q > r や px + q < r の形になる文章題を解くことを求め、同じ販売員の例を挙げています。確かめると、17件なら5,000 + 5,100 = 10,100円、16件なら5,000 + 4,800 = 9,800円で、10,000円に届きません。
不等式のよくあるまちがいと特別な場合
不等式の宿題のまちがいの多くは4つの原因から生まれ、どれもすぐに直せます。
- 向きを変え忘れる: −2x ≦ 8 を−2でわって x ≦ −4 と書くと、数直線の反対側の半分になります。負の数でわるたびに「負の数、向きを変える」と声に出しましょう。
- 理由もなく向きを変える: 答えに負の数が出ても、向きは変わりません。2x > −8 は正の2でわるので、x > −4 のままです。
- 丸の種類のまちがい: x > 5 に黒丸をかくと、5が当てはまると言っていることになりますが、当てはまりません。丸をぬりつぶす前に、境目の数を代入して確かめます。
- xが右にあるときの向きのまちがい: 7 < x は x > 7 という意味なので、右へのばします。まずxを左に書き直します。
特別な場合:連立不等式、解がないとき、すべての数が解のとき
−2 < x ≦ 3 のような不等式は、文字に2つの制限を同時につけます。OpenStaxの中級代数(Intermediate Algebra 2e)はこれを二重の不等式と呼び、「a < x < b は a < x かつ x < b と同じ」と説明しています。日本では、2つの不等式を組にしたものを連立不等式と呼びます。数直線では、−2に白丸、3に黒丸をかいて、その間をぬります。区間の記号では (−2, 3] です。
x + 1 < x を解くと 1 < 0 という正しくない式になるので、この不等式には解がありません。x + 3 > x を解くと 3 > 0 といういつも正しい式になるので、すべての数が解です。OpenStaxは、正しくない場合を「矛盾」、いつも正しい場合を「恒等式」と呼んでいます。
不等式のチェックリストと次のステップ
- 不等号: 不等号を声に出して読み、「以上」は ≧、「以下」は ≦、「未満」は < にする。
- 同じ手順: 両辺で、たし算とひき算、次にかけ算とわり算を元にもどす。
- 負の数のルール: 負の数をかけたり負の数でわったりするときだけ、向きを変える。
- 境目の確かめ: 境目の数と、矢印の側の数を1つ、もとの不等式に入れる。
- 数直線: xを左にして、白丸か黒丸かを選び、当てはまる数のほうへ矢印をのばす。
- 計算の順序: 項を移す前に、計算の順序に従って両辺を整理する。
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よくある質問
不等式とは何ですか?
不等式は、ある数量がほかの数量より大きい、小さい、または等しくないことを表す式です。等号=のかわりに <、>、≦、≧、≠ の不等号を使います。x ≦ 4 は、xが4か4より小さい数であることを表すので、答えは限りなくたくさんあります。
不等式はどうやって解きますか?
不等式は方程式と同じ手順で解きます。まずたし算とひき算を元にもどし、次にかけ算とわり算を元にもどし、いつも両辺に同じことをします。3x − 4 > 11 なら、両辺に4をたして 3x > 15、両辺を3でわって x > 5 です。不等号の向きを変えるのは、負の数をかけたり負の数でわったりするときだけです。
不等号の向きを変えるのはどんなときですか?
不等号の向きは、両辺に負の数をかけたり、両辺を負の数でわったりするときに変わります。−2x ≦ 8 の両辺を−2でわると、≦ が ≧ に変わって x ≧ −4 になります。どんな数をたしたりひいたりしても、正の数をかけたりわったりしても、向きは変わりません。
不等式の答えを数直線に表すにはどうしますか?
不等式の答えは、数直線の境目の数に丸をかき、当てはまる側に矢印をのばして表します。< や > では境目の数は答えにふくまれないので白丸(○)、≦ や ≧ ではふくまれるので黒丸(●)をかきます。x > 2 なら、2に白丸をかいて右へ矢印をのばします。
数直線の白丸と黒丸はどうちがいますか?
数直線の白丸(○)は境目の数が答えにふくまれないこと、黒丸(●)はふくまれることを表します。x < 3 のグラフは3が白丸、x ≦ 3 のグラフは3が黒丸です。英語圏の教科書には、白丸のかわりに丸かっこ、黒丸のかわりに角かっこをかくものもあります。
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