算数の宿題がわからない親へ:新しい解き方の意味

算数の教え方は、なぜ昔と違うのですか?
今の算数は、筆算などの速い書き方より先に、数を10のまとまりとばらで見る力を育てます。さくらんぼ計算、数直線、面積図は、その手順がなぜ正しいかを見せるための道具です。筆算がなくなったわけではありません。日本では2けたのたし算・ひき算の筆算を2年、かけ算の筆算を3年、わり算の筆算を4年で学びます。
この記事の要点
- アメリカのコモン・コアも日本の学習指導要領も、学年ごとに身に付ける内容を示す基準で、細かな解き方は教科書と授業が決めます。
- さくらんぼ計算などの新しい解き方は、数を10のまとまりとばらに分けます。繰り上がりと繰り下がりが成り立つのも同じ考え方です。
- 筆算はなくなっていません。日本ではたし算・ひき算の筆算を2年、かけ算を3年、わり算を4年で学びます。
- 保護者がいちばん役に立つのは、まずお子さんに宿題を説明してもらい、次に計算練習をして、近道は解き方がわかってから見せることです。
- 基本の計算は今も暗記が求められていて、1けたどうしのたし算・ひき算は1年、九九は2年が目安です。
コモン・コアとは何ですか?
コモン・コアは、アメリカの算数・数学の基準です。各学年の終わりまでに子どもが何を理解し、何ができるようになるべきかを並べたもので、教科書でも、ひとつの教え方でもありません。基準の文書自体がはっきりこう書いています。「この基準は、カリキュラムや教え方を指示するものではない」。
この一文で、食卓での戸惑いの多くが説明できます。基準が決めるのは、2年や4年の終わりに何ができればよいかです。どう教えるかは学区が選んだ教科書が決め、さくらんぼのような図や数直線はそこから出てきます。
日本で同じ役割をしているのが、文部科学省の学習指導要領です。学年ごとに身に付ける内容が書かれていて、教科書はそれをもとにつくられます。アメリカでは当初、5州を除くすべての州がコモン・コアを採用し、その後多くの州が見直しや改訂をしました。国や州で基準の名前が違っても、宿題のページに出てくる解き方はよく似ています。
算数の教え方は、なぜ昔と違うのですか?
算数の教え方が違うのは、今の基準が位取りの理解を先に置き、速い書き方をそのあとに置いているからです。子どもは今も繰り上がりと繰り下がりを学びます。ただ、その手順がなぜ正しいかを見てから出会います。
コモン・コアは理解を、「ある数学の文がなぜ正しいのか、あるきまりがどこから来るのか」を説明できる力と表し、理解と手順の技能は「同じくらい大切」だと付け加えています。繰り上がりの「1」を考えてみてください。あの「1」は10のことです。それを知っている子は、自分の答えを確かめられます。「小さい1を上に書く」とだけ覚えている子は、数が大きくなったときに確かめる手段がありません。
全米数学教師協議会(NCTM)も、手順の流暢さについての声明で同じ考えを示しています。流暢さとは手順を「効率よく、柔軟に、正確に」使えることで、どの子も問題に合わせて選べるよう、複数の方法を学ぶべきだとしています。98 + 35なら、柔軟な解き方は100 + 35 − 2 = 133です。縦に並べる必要はありません。
ブラウザで無料で遊ぶ位取り小1〜小2新しい算数の解き方には、どんな意味がありますか?
新しい算数の解き方は、どれも数を扱いやすいかたまり、たいていは10のまとまりとばらに分けて、計算を目に見える小さな段階で進める方法です。どの解き方も、保護者がすでに知っている方法につながっています。
| 解き方 | 見た目 | 学年(米国) | つながる昔の方法 |
|---|---|---|---|
| さくらんぼ図(数の分解) | 10を7と3に、5を2と3に分ける | 年長〜1年 | 10になる組み合わせ |
| さくらんぼ計算(10をつくる) | 8 + 5 = 8 + 2 + 3 = 10 + 3 = 13 | 1年 | 繰り上がり |
| 数直線 | 53 − 27:27から30、50、53へ跳ぶ | 2年 | 繰り下がり |
| 面積図 | 23 × 14 = 200 + 80 + 30 + 12 = 322 | 4年 | かけ算の筆算 |
| 分けてわる(部分商) | 372 ÷ 6 = 50 + 12 = 62 | 4〜5年 | わり算の筆算 |
さくらんぼ図(数の分解)。 さくらんぼ図は、上の丸にひとつの数を書き、下の2つの丸にその分け方を書く図です。アメリカの幼稚園の基準は、10までの数をいくつかの組に分けることを求めていて、5 = 2 + 3、5 = 4 + 1のように分けます。日本の学習指導要領も1年で「一つの数をほかの数の和や差としてみる」ことを挙げています。いちばん大切なのは10になる組み合わせで、あとの解き方はすべてこれを土台にします。さくらんぼ計算(数の分解)の練習を何回か続けると、この組み合わせがすぐに出てくるようになります。
さくらんぼ計算(10をつくる)。 さくらんぼ計算は、難しい計算を簡単な計算に変える方法です。8 + 5なら、8はあと2で10になるので、5を2と3に分けます。8 + 2 = 10、10 + 3 = 13です。ひき算でも使え、13 − 8なら13を10と3に分けて、10 − 8 = 2、2 + 3 = 5と進めます。アメリカの1年の基準もほぼ同じ例、8 + 6 = 8 + 2 + 4 = 10 + 4 = 14を挙げています。のちに48 + 35の筆算で10を繰り上げるとき、紙の上でしているのは同じ動きです。
数直線。 ここでいう数直線は、目盛りのない線に跳ぶ矢印を描いたものです。53 − 27なら、27から数えやすい幅で跳びます。+3で30、+20で50、+3で53に着きます。跳んだ幅を足すと3 + 20 + 3 = 26なので、53 − 27 = 26です。アメリカの2年の基準は、100までのたし算とひき算を数直線の図に表すことを求めています。算数が苦手な子の支援についてまとめたWhat Works Clearinghouseの実践ガイドAssisting Students Struggling with Mathematicsも、考え方と手順を学ぶ道具として数直線を勧めています。繰り上がりがわかってきたら、繰り上がりのあるたし算で練習を続けるとよいでしょう。
面積図。 面積図は、かけ算を長方形に描き、いくつかの部分に分ける方法です。23 × 14なら、23を20と3に、14を10と4に分けます。4つの部分は20 × 10 = 200、20 × 4 = 80、3 × 10 = 30、3 × 4 = 12で、200 + 80 + 30 + 12 = 322です。昔の筆算は、同じかたまりを2段で求めています。23 × 4 = 92と23 × 10 = 230で、92 + 230 = 322です。アメリカの4年の基準は、式、長方形の配列、面積図を使ってかけ算を説明することを求めています。
分けてわる(部分商)。 分けてわる方法では、子どもは自信のある大きさでわり算を少しずつ進めます。372 ÷ 6なら、まず6を50こ分(300)ひいて72が残り、次に6を12こ分(72)ひくと0になります。答えは50 + 12 = 62で、6 × 62 = 372で確かめられます。
ブラウザで無料で遊ぶ数の合成小1〜小2新しい教え方では、筆算は教えないのですか?
新しい教え方でも筆算は教えます。コモン・コアは筆算(標準的な計算方法)を禁じるどころか、3つの学年で名指しで求めています。コモン・コアの算数・数学の基準にはこうあります。
- 4年(4.NBT.B.4): 「複数けたの整数のたし算とひき算を、標準的な計算方法で流暢に行う」
- 5年(5.NBT.B.5): 「複数けたの整数のかけ算を、標準的な計算方法で流暢に行う」
- 6年(6.NS.B.2): 「複数けたの数のわり算を、標準的な計算方法で流暢に行う」
日本の学習指導要領では、筆算はもっと早く出てきます。2年で2けたのたし算・ひき算が「1位数などについての基本的な計算を基にしてできることを理解し」、あわせて「それらの筆算の仕方について理解すること」とされ、かけ算の筆算は3年、わり算の筆算は4年です。どちらの国でも、さくらんぼ計算や図は筆算への橋で、筆算の意味がわかるにつれて自然に使わなくなります。1年生がさくらんぼを描いているのは予定どおりです。3年生になってもたし算の筆算を見たことがないなら、先生に聞いてみる価値があります。
わからない宿題は、どう手伝えばいいですか?
いちばん役に立つ手伝い方は、お子さんに解き方を教えてもらうことです。解き方を声に出して説明することこそ、その宿題が練習している力です。
- 見せる前に聞く。 「先生はこの問題をどうやっていた?」半分わかっている解き方なら、たいていの子は説明できます。話しているうちに、そのまま解けることもよくあります。
- 例題を探す。 プリントや教科書のページは、たいてい例題から始まります。次の問題は、その例題の書き方をひとつずつまねて解きます。
- 10のまとまりとばらに置き換える。 どんな図でも「10のまとまりはいくつ?ばらはいくつ?」と聞いてみてください。この質問は、さくらんぼ計算にも数直線にも面積図にも使えます。
- 近道はあとに取っておく。 宿題が数直線を求めているのに、それを飛ばす近道で解くと、バツがついて子どもが混乱します。保護者のやり方は、答えを確かめる方法としてあとで見せてください。
- 連絡帳に書く。 親子で考えてもわからないときは、「数直線のところでつまずきました」と短く先生に伝えましょう。次の授業に役立つ情報になります。
紙で繰り上がりを練習したい2年生には、答えつきの2年生のたし算プリントが使えます。各学年で学ぶ内容の全体像は、学年ごとに身に付けたい算数を参考にしてください。
計算の暗記は、今も必要ですか?
基本の計算は今も覚える必要があり、基準にははっきりした期限があります。ここまでの解き方はどれも、小さな計算を数えずに言えるほど速く進みます。
- 2年(2.OA.B.2): 「2年の終わりまでに、1けたの数2つのたし算をすべて暗記する」
- 3年(3.OA.C.7): 「3年の終わりまでに、1けたの数2つのかけ算をすべて暗記する」
この2つはコモン・コアの算数・数学の基準にあります。日本では時期がもう少し早く、1けたどうしのたし算とその逆のひき算を1年で、九九を2年で確実にできるようにします。解き方は、そこへたどり着くための手段です。NCTMの手順の流暢さについての声明は、10をつくるような数の関係を通して基本の計算を教えることを勧め、What Works ClearinghouseのガイドAssisting Students Struggling with Mathematicsは、考え方がわかったあとに流暢さを育てる方法のひとつとして、短い時間制限つきの練習を定期的に行うことを勧めています。
家庭では、週末に長くやるより、毎日数分のほうが効きます。まず10になる組み合わせ、次にぞろ目のたし算、それから残りのたし算です。2年で九九が始まったら、九九を早く覚える方法が、覚える九九を手ごわい10個まで減らす順番を紹介しています。MathItはiOSとAndroid向けの無料アプリで、約90種類のゲームと、お子さんに合わせて変わる難易度があります。親子で遊べる算数ゲームなら、計算練習が食卓での短い2人対戦になります。
よくある質問
さくらんぼ計算とは何ですか?
さくらんぼ計算は、数を2つに分けて10をつくり、計算を簡単にする方法です。9 + 4なら、9はあと1で10になるので4を1と3に分け、9 + 1 = 10、10 + 3 = 13と進めます。分けた数を線でつないだ形がさくらんぼに見えることから、この名前で呼ばれています。
子どもに昔のやり方で筆算を教えてもいいですか?
筆算は学習指導要領にある内容なので、教えること自体は問題ありません。気をつけたいのは時期です。今週の宿題がさくらんぼ計算や数直線を求めているなら、まずその形で解かせ、あとから筆算も同じ10のまとまりを記録していると見せてください。
なぜ答えだけでなく、考え方を書かされるのですか?
考え方を書くことで、先生はお子さんが手順を覚えているだけなのか、意味までわかっているのかを確かめられます。アメリカのコモン・コアも、きまりがなぜ成り立つかを説明できることを理解の証としています。考え方が見える間違いは、答えだけの間違いよりずっと直しやすいものです。
日本の算数にも、アメリカのような基準がありますか?
日本の算数の基準は、文部科学省の学習指導要領です。学年ごとに身に付ける内容が書かれていて、教科書はそれをもとにつくられます。1年では「数を,十を単位としてみること」が挙げられていて、さくらんぼ計算はこの考え方を形にしたものです。
コモン・コアは今もアメリカ全州で使われていますか?
コモン・コアは2010年ごろにアメリカの多くの州が採用し、その後、多くの州が見直したり、改訂したり、名前を変えたりしています。宿題に出てくる解き方は、たいてい学区が選んだ教科書から来ています。日本の場合も同じで、手元の教科書とプリントが、何を求められているかを知るいちばんの手がかりです。
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